第11回 お泊まりデイはどこにいくのか 基準該当サービスとして制度化検討を

第11回 お泊まりデイはどこにいくのか 基準該当サービスとして制度化検討を

[ 高齢者住宅新聞 2月5日号 ]

白澤 政和 氏 | 桜美林大学大学院老年学研究科 教授

今回の介護保険法改正で制度化されなかった「お泊りデイ」は今後どのようになっていくのであろうか。このサービスに対しては賛否両論があることも事実である。両論を大雑把に整理すると、制度化に賛成論者は、利用者のニーズが高く、全国では1000か所はあるということを主張する。一方、否定論者は劣悪な環境のもとで宿泊しており、2年近い長期宿泊者もいるといった状況があり、宿泊前後でのデイサービス利用になり事業者が金儲けの手段にしていると批判する。

ここでお泊りデイについては、特別養護老人ホームの待機用とショートステイの代用として使われている場合があることから整理すべきである。前者の特養の代用としては、現実にはショートステイ、老人保健施設、サービス付き高齢者住宅、病院が使われている。特養の待機自体が問題であるが、この場合には、利用が長期化することになり、常設の宿泊施設で対応すべきであり、宿泊機能を基本的に有していないデイサービスを活用することは本末転倒である。これには、特養の増設や在宅生活を可能にする居宅サービスの充実でもって対処するのが根本である。そのため、お泊まりデイを制度化していくべきではない。
 
一方、後者のショートステイの代用としてお泊りデイを活用している場合がある。ショートステイの本来機能は、家族介護者に休息(レスパイト)を提供するために、週や月の何日かを予約して利用する場合と、介護者の入院や急用といった緊急事態に対応するために、ショートステイを利用する場合の二通りがある。現実には、ショートステイの事業者は前者の利用者からの休息のための予約を取ることで、常時満室にしておくことで、経営を安定させている。そのため、後者の緊急時でのショートステイ利用の際には空室がなく、現実には利用することが困難になっている。そのため、これも本来は、ショートステイの増設で対応すべきであり、デイサービス施設で代用すべきことではない。
 
こうした事態を改善するため、今回の介護報酬改正で、空部屋を常時有しているショートステイに対して加算をつけることになっており、これも1つの工夫のように思える。しかしながら、加算の額にもよるが、基本的にはショートステイを新設しても、事業者が満室志向に走り、ショートステイ休息のために活用されることが中心にならざるをえない。
 
こうした緊急時の対応としてデイサービスを活用するのであれば、保険者がお泊りデイを基準該当サービスとして制度化しても良いのではないかと考える。なぜなら、現状のお泊りデイは、事業者と利用者の民民契約のもとで、ごく一部であるとしても、雑魚寝等の劣悪な環境や火災などのリスクの中で実施している事業者もあることを考えると、劣悪な環境やケアを行っている事業者を淘汰していく必要があるからである。
 
ただし、基本はショートステイの増設で本来行われるべきものであり、応急処置として利用を極力抑制する仕掛けが求められる。それは、お泊まりデイの人員、設置、運営についての最低基準を設定することである。
 
ここでは、東京都が昨年7月から始めた届出制の基準が参考になる。この基準では人員、設備、運営について示しているが、特に宿泊期間については、「連続30日を超えない。要支援・要介護認定の有効期間のおおむね半分を超えない」ことを上限としている。30日も緊急事態が続くとは考えにくく、これは特養待機のためのデイサービス利用基準であり、これについては宿泊機能を有するサービス付き高齢者住宅や有料老人ホーム、さらには老人保健施設でもって対応することがベストではないが、妥当である。
 
もう一方参考になるのが、厚生労働省がお泊りデイの制度化を当初検討した際に示した基準である「利用回数の上限は月4回で、連続して宿泊できる日数は最長で2泊3日」は、ショウトステイの代用を示すものであろう。さらに、年間の利用日数に制限を加えて、利用日を縮小させてはいかがかと思うが、このような基準を採用して、保険者がお泊りデイを基準該当サービスにするのであれば、お泊りデイはショートステイに代用するサービスになるのではないだろうか。
 
民民契約で急速に拡大しているお泊りデイが、劣悪な施設もあるとするならば、東京都のような届出制もサービスの質を担保する方法である。
 
ここでは、さらに踏み込んで、緊急時に対応できるショートステイの居室が十分でない市町村では、人員、設備、運営の基準を厳しくし、お泊りデイを基準該当サービスとして実施してくことを提案するものである。そうすることで、お泊りデイのサービスの質を確保するだけでなく、やむを得ず特養待機としてお泊まりデイを利用する場合にも、質の高い事業者が選ばれやすくなると思われるからである。

しらさわ・まさかず プロフィール
桜美林大学大学院老年学研究科教授。社会学博士。