第12回  地域包括ケアでの介護支援専門員による介護と医療の連携 ~ 介護と医療の垣根解消へ期待

第12回 地域包括ケアでの介護支援専門員による介護と医療の連携 ~ 介護と医療の垣根解消へ期待

[ 高齢者住宅新聞 2月25日号 ]

白澤 政和 氏 | 桜美林大学大学院老年学研究科 教授

今回の介護報酬改定で、居宅介護支援事業については、昨年度の収支差率がマイナス1・2%であり、介護報酬の基本単位そのものを上げるべきだと思っていたが、それはかなわなかった。特に、要支援者のケアプランが地域包括支援センターから居宅介護支援事業者への委託を円滑に移行させていくうえでも、また介護予防を推進するためにも、要支援者に対する基本単位である月412単位についてアップを期待していたが、無理であった。

これについては、国は介護予防を強化することよりも、要支援者を介護保険制度から外していこうとする意向の方が強いのであろうことが想像できる。ただ、要支援者であっても、ケアプランを含めて利用者やその家族と関わる時間数が少なくならないというエビデンスがあることを、強調しておきたい。
 
一方、介護支援専門員は医療との連携に対して、いくつかの加算が見直され、連携の強化が図られることになった。具体的には、医療連携加算や退院・退所加算について、算定要件や評価等の見直しが行なわれた。さらに、在宅患者緊急時等のカンファレンスに介護支援専門員が参加した場合の加算が新設された。
 
従来の入院時に介護支援専門員が病院や診療所を訪問し、必要な情報提供を行う「医療連携加算」(150単位/月)が、「入院時情報連携加算(Ⅰ)」(200単位/月)と「入院時情報連携加算(Ⅱ)」(100単位/月)に分けられた。前者は、介護支援専門員が病院や診療所を訪問し情報提供を行った場合であり、後者は訪問以外の方法により情報提供を行った場合である。
 
退院・所については、病院等に出向いて、職員と面談を行い、利用者に関する必要な情報の提供を求める等の連携を行った際に、入院・所期間が30日以内の場合には「退院・退所加算(Ⅰ)」は月400単位、入院・所期間が30日以上の場合には「退院・退所加算(Ⅱ)」は月600単位であった。これが、入院・所の期間に関係なく、1回300単位となり、入院等の期間中に3回まで算定可能となった。
 
新規に、病院又は診療所の求めにより、病院や診療所の職員と一緒に利用者の居宅を訪問してカンファレンスを行い、居宅サービス等の利用調整を行った場合に、「緊急時等居宅カンファレンス加算」(200単位/回)がつき、1月に2回を限度として算定できることになった。
 
個人的には加算を付けることには、介護保険制度を複雑にするため、あまり好ましいことではないと思っている。同時に、こうした加算の業務内容は、介護支援専門員にとっては当然の業務であり、本来は加算でインセンティブを働かせるものではなく、こうした業務を含めた介護報酬の基本単価が決められるのが本質であると考える。ただ、介護支援専門員が利用者支援の際に医師等の医療従事者との連携を深めることに躊躇感があるとすれば、こうした加算も致し方ないといわざるを得ない。医療保険制度の診療報酬に介護との連携に関する加算があり、介護保険制度での加算とが相乗効果となり、医療と介護の連携が両者から深まることをまずは期待したい。
 
地域包括ケアの課題の1つに、介護と医療の連携を図ることがある。これを、介護保険制度の窓口にいる介護支援専門員が医療従事者との情報交換を密にすることで、利用者の介護や医療のニーズを把握し、適切なサービスに結びつけることができれば、介護と医療の連携が促進されることになる。介護支援専門員を突破口にして、医療と介護の連携を強化していくことが連携の基本であり、評価できる。こうした加算でもって、介護と医療の間での垣根がなくなっていくことを願うものである。
 
ただ、これらの加算の業務内容は、介護支援専門員にとっては本来当たり前の業務であり、将来的には、全ての介護支援専門員がこうした業務がスムーズに行われることで、加算分が介護報酬の基本単価に積み上げられることを期待したい。

しらさわ・まさかず プロフィール
桜美林大学大学院老年学研究科教授。社会学博士。