第13回 地域包括ケアで医療と介護の連携拠点はどこか ~ 地域横断のサポート拠点で連携推進

第13回 地域包括ケアで医療と介護の連携拠点はどこか ~ 地域横断のサポート拠点で連携推進

[ 高齢者住宅新聞 3月5日号 ]

白澤 政和 氏 | 桜美林大学大学院老年学研究科 教授

地域包括ケアの重大なテーマに介護と医療の連携の推進がある。これには1つは医療保険と介護保険の制度的な整合性を図っていくことである。もう一方、利用者に多様なサービスをつなぐ人材なり拠点をいかに配置していくかも重要な課題である。
介護保険制度では、「介護支援専門員」とその土台をつくる「地域包括支援センター」をもとに、医療との連携の仕組みを作ってきた。一方、医療保険制度の側から、今年度から「在宅医療連携拠点事業」が進められている。

「在宅医療連携拠点事業」は、医療と介護の双方に詳しい人材を拠点に配置し、在宅療養者を地域横断的にサポートする拠点を作るモデル事業である。これも地域における多職種協働による医療と介護の連携体制を構築することを目的にしている。平成11年度は10施設が選定され、事業を推進している。ここでは、在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、一般病院、医師会、行政といった多様な機関が拠点になり実施している。医政局は2012年度を『新生在宅医療・介護元年』と位置づけ、次年度には20.5億円をつけ、96施設に拠点を増やす予算案になっている。
 
「在宅医療連携拠点事業」は医政局の事業であり、地域包括支援センターは老健局の事業である。前者にはケアマネジャー資格のある看護師や医療ソーシャルワーカーが連携を推進する担当者としてふさわしいとされている。一方、地域包括支援センターの職員には保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員が配置され、実際にここ5年間業務を行ってきている。
 
今回、新規に進められている「在宅医療連携拠点事業」は医療保険の側面から、介護との連携を図り、個々の利用者の生活を支援していく仕掛けづくりである。一方、地域包括支援センターは介護保険制度の側面から、医療等との連携を図り、地域での様々な機関・団体との連携を図っていくことを意図している。
 
厚生労働省が示した最近の地域包括ケアについては、地域包括の拠点構想が示されている。ここで両者が併存することとなっており屋上屋を重ねることにならないかを危惧する。地域包括支援センターと在宅医療連携拠点を別々に位置づけることで、両者が連携するよりも、対立したり、非効率的に作用するのではないかと心配する。
 
単純に考えれば、既存の地域包括支援センターに一体化することがベストである。日本医師会常任理事の三上裕司氏はシルバー産業新聞のインタビューに応え、「地域包括ケアシステムの構築には医療介護連携拠点(文面のまま)と、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所の3点で包括的マネジメントをするようになっている。連携拠点で地域の医師会がコーディネーター役となって機能を果たす。地域包括支援センターも、非常勤でもよいから医師が関与できるよう予算計上すべきだ。ただ私は地域包括支援センターの機能を拡充し、ワンストップで医療と介護に対応したほうが良いと思っている。そのためには厚労省が局の垣根を越えて連携しないといけないだろう(http://www.care-news.jp/column/cat95/nihonishikai_shutyo_11_11_10.html)と述べている。ただ、そのためには、どのように局の垣根を越えて、地域包括ケアを進めていくかがテーマとなる。
 
私案は、厚生労働省の両局がそれぞれ拠点を構想するのではなく、両者を一体的な組織に組み替えることを提案したい。地域包括支援センターは介護保険制度の中に位置付けているが、医療保険からも介護保険からも等距離の位置づけにし、同時に在宅医療連携拠点も両保険から等距離の位置づけとし、医政局と老健局の共管事業として一体的な組織として推進していくことである。
 
さらに将来的には、介護支援専門員も介護保険制度から切り離し、他の障害者領域でケアマネジメントを実施している相談支援専門員も一体になり、相談支援を実施していくことで、地域包括ケアの仕組みを作ることが本来の姿であると思っている。
 
極端な話のように思われるかもしれないが、これが、本当の地域包括ケアの仕組みである。これには、厚生労働省が縦割りになっており、本来の地域包括ケアを推進する部局がないことが大きい。時間がかかるかもしれないが、当分の間は局間での共管事業を拡大していくことが、利用者本位の地域包括ケアを進めていくことしかない。ある意味では、地域包括ケアを推進する本家本元である厚生労働省の仕組みが、地域包括ケアを難しくしているという皮肉な結果になっている。

しらさわ・まさかず プロフィール
桜美林大学大学院老年学研究科教授。社会学博士。