第15回 取り残された「訪問入浴サービス計画書」 福祉用具サービス計画作成でチームケア

第15回 取り残された「訪問入浴サービス計画書」 福祉用具サービス計画作成でチームケア

[ 高齢者住宅新聞 4月5日号 ]

白澤 政和 氏 | 桜美林大学大学院老年学研究科 教授

今回、介護報酬の改定と同時に介護サービスの指定基準の見直しがなされた。そこでは、福祉用具の貸与(レンタル)および購入品目について「福祉用具サービス計画」の作成が、さらに貸与品目についてはモニタリングが義務付けられた。これは要介護者だけでなく、要支援者についても同様である。この計画には、当然、利用者の心身の状況や環境、さらには利用者の希望等をアセスメントし、福祉用具の利用目的、提供方法、選定理由等が明記されなければならないことになる。

この結果、例えば車いすのレンタルが介護支援専門員のケアプランに示されれば、福祉用具専門相談員はそれに合わせて、利用者の身体・心理・社会状況を詳しくアセスメントし、「福祉用具サービス計画」を作成し、利用者のニーズに合った適切な車いすを提供すると同時に、使用方法や留意点が示されることになる。さらに決められた期間内にモニタリングのために家庭訪問をし、利用者のニーズの変化に合わせて、車いすの種類の変更を介護支援専門員に相談をしたり、これまでの機能や使い方の変更を、利用者や家族と話し合い、検討していくことになる。
 
こうした「福祉用具サービス計画」を福祉用具専門相談員は書面に記述し、それを利用者に交付するだけではない。「福祉用具サービス計画」は介護支援専門員だけでなく、他の専門職からも理解を得て、福祉用具専門相談員は利用者を支援する多様な専門職と一緒になり、利用者を支えるチームメンバーの一人として活動することになる。
 
「福祉用具サービス計画」の作成においては、なぜ、その福祉用具を使うのか、なぜ、変更したのか、といった点について利用者の理解を得ながらサービスを継続的に提供していくことになる。同時に、個々の利用者の状態に適した福祉用具の使い方や留意点が示されることになる。
 このことは、福祉用具専門相談員が福祉用具の単なる「運搬人」ではなく、「サービス提供者」の一員になることである。
 
介護支援専門員のケアプランに福祉用具の貸与・購入が書かれていると、福祉用具専門相談員はサービス担当者会議に9割以上が参加している現実がある。さらに、福祉用具サービス計画を作成・実施することで、チームメンバーの一人として、介護支援専門員や他の介護サービス事業者と双方向での情報交換が可能となり、お互いの役割分担を確認し合えることになる。
 
福祉用具専門相談員は初回に限らず、毎回のモニタリングにおいて単なる福祉用具の点検に留まらず、利用者の状況をアセスメントし、福祉用具サービス計画を変更していくことが不可欠となる。
 
この福祉用具サービス計画が作成・実施されることで、福祉用具利用での事故防止にもつながっていくことを期待したい。平成7年から11年の5年間に消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故情報では、福祉用具の重大事故は163例あり、61名が死亡している。これら重大事故は製品の欠陥というよりは、誤使用によることが大部分である。
 
そのため、福祉用具サービス計画には、利用上の留意点が記述され、利用者や家族だけでなく、利用者宅を訪問する訪問介護員、訪問看護師、介護支援専門員等にも留意点を把握してもらうことで、リスクの管理が図られることを願っている。
 
この結果、住宅改修は別として、居宅サービスの内で個別援助計画の作成を義務化されていないのは、訪問入浴サービスだけになってしまった。訪問入浴サービスの利用者は要介護5等の重度者が多く、在宅でのターミナル期や医療ニーズの高い方が利用している。そのため、リスクの管理も含めて、訪問入浴サービス計画の作成が義務化されるべきである。
 
訪問入浴サービスについては、2006年度から始まった「介護サービス情報の公表制度」では、訪問入浴サービスの個別援助計画を作成しているかどうかが情報項目として入っており、福祉用具サービス計画よりも、個別援助計画の作成について先行していたように思っていた。
 
こうした経過もあり、訪問入浴事業者の大多数は自主的に訪問入浴サービス計画書を作成・実施している実態がある。是非、次の指定基準の見直しでは、「訪問入浴サービス計画書」の作成についても義務化にまでもっていって頂きたい。ひいては、介護支援専門員のケアプランと個々の介護サービス事業者のサービス計画が連携をし、利用者の在宅生活を切れ目なく支えていく仕組みをつくりあげることを期待したい。

しらさわ・まさかず プロフィール
桜美林大学大学院老年学研究科教授。社会学博士。