“社会の避難所”から脱却する介護施設・サービスを

“社会の避難所”から脱却する介護施設・サービスを

小山 剛氏 | 社会福祉法人 長岡福祉協会 高齢者総合ケアセンターこぶし園 総合施設長

長岡福祉協会の高齢者総合ケアセンターこぶし園は、特別養護老人ホームこぶし園をはじめ、小規模多機能型居宅介護施設、短期入所介護施設、デイサービスセンター、24時間ケアサービスセンターなど幅広い介護サービスを新潟県長岡市を拠点に展開している。ショートステイの拡充や24時間365日のホームヘルプ、デイサービスのワイドタイム化、老人ホームの地域分散化など、さまざまなサービスを先駆的に取り組んできた。その立役者である総合施設長の小山剛氏に話を聞いた。

“社会の避難所”から脱却する介護施設・サービスを
社会福祉法人 長岡福祉協会
1978年10月設立。法人全体で約1,700名の職員を抱え、110の施設を擁する。その中の高齢者総合ケアセンターこぶし園では、新潟県長岡市を拠点に特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、24時間ケアサービスセンター、小規模多機能型ホームなど65にも及ぶ事業を展開している。これまでの地域包括ケアの取り組みを通して蓄積したノウハウを基に、首都圏で複合型福祉施設や小規模多機能施設の運営に乗り出している。

高齢者と家族の「半泣き」に活路を見出す

int003_kobushi_kiji1

従来の施設の仕組みは“人生の避難所”――小山氏はそう言い切る。災害時に体育館や公民館などで避難所生活を強いられる。在宅での生活が困難だからという同じ理由で、介護を必要とする高齢者は施設に収容され、自分の意思とは裏腹に“人生の避難所”生活を強いられているという訳である。
 
「お嫁さんが働かなければならず親の面倒を見られないから、あるいは妻が高齢で介護ができなくなったからという理由で施設に避難させられている。だからこそ、ひどい環境なんだということを、老人ホームの勤務に異動したとき強く認識しました。施設で暮らさなければならなくなった当人は誰も、けっしてそこで生活しようと望んだわけでもなく、ずっとそこで生活したいという欲求もありません。家族のために犠牲になって泣く泣く施設で暮らしている人がほとんどです。これではいけない。何とかしなければ・・・・・・それが、その後のさまざまな取り組みの動機になっています」。
 
そこで小山氏が最初に取り組んだのが、ショートステイの拡充だった。できるだけ生まれ育った地域・自宅で暮らせることを基本に、家族介護が困難なときに必ず利用できる介護施設としてショートステイ専用施設を拡大。現在、定員80名で運営している。
 
その基本的な考えに、高齢者と家族の「半泣き」がある。老人ホームの利用では高齢者が泣き、在宅介護では家族が負担が重くて泣く。「両方どちらが泣きっぱなしはや止めよう。自宅と施設を行ったり来たりしながら、お互い半分ずつ泣きましょうということを地域の皆さんに理解してもらいました」。地域で暮らしたいという利用者本位のサービスだが、家族にも一定の負担を強いることになるため、必要なときには必ず利用できる施設態勢を整える努力が重要となる。「施設の少ない都市部では、利用したくても空きがなく、抽選の上で利用を待つようなものは、ショートステイとは言えない」と小山氏は指摘する。
 
一方、単身世帯や高齢者世帯の在宅介護はショートステイだけでけでは困難。そこで小山氏が次に行ったのが、24時間365日のホームヘルパーの派遣、午前7時半から午後6時半までのワイドタイム・年中無休のデイサービス、365日3食の配食サービス、さらに看護が必要な利用者への365日夜間緊急対応付きの訪問看護サービスなどである。
 
「こうした取り組みを実施する中で、はたと気付いたことは、連続的な介護を必要とする人に対するサービスの提供は在宅でもできるじゃないか、ということです。そこに至った原点には、私自身が将来利用するサービスだから、利用したいサービス、あってほしいサービスでなければならないという信念があります。誰も住み慣れた地域を離れたくないし、避難所ような生活を望んでいないでしょう」。自分が利用したくないサービスを創り出しても仕方ないという信念が、小山氏の活動の根底にある。
 
その理念に基づいた取り組みに既設の特別養護老人ホームの解体と、それに伴うサテライト型居住施設や小規模多機能型施設の拡大がある。

1 2