ゼロからのスタートながら、法人設立から5年で特別養護老人ホームを開設

ゼロからのスタートながら、法人設立から5年で特別養護老人ホームを開設

藤巻 秀卓 氏|社会福祉法人れんげ福祉会 常務理事

長野県大町市常盤にある社会福祉法人れんげ福祉会は、特別養護老人ホームをはじめ、デイサービスやケアハウス、ヘルパーステーションを運営する地域で唯一の高齢者向け介護施設である。同法人を設立した藤巻氏は、元々介護に関してはまったくの素人だった。しかし、地域の人々の役に立ちたいという熱い思いを胸に、設立からわずか5年で、念願の特養の開設までを実現させた。

ゼロからのスタートながら、法人設立から5年で特別養護老人ホームを開設
社会福祉法人れんげ福祉会
2001年7月、長野県大町市常盤に設立。現在、デイサービス、ケアハウス、居宅介護用のヘルパーステーションおよび特別養護老人ホームを運営している。2001年7月、長野県大町市常盤に設立。現在、デイサービス、ケアハウス、居宅介護用のヘルパーステーションおよび特別養護老人ホームを運営している。地域密着型の社会福祉法人として地域、利用者から多くの支持を得ている。

多角的な運営とサービスの向上により経営基盤を強化

int005_renge_kiji1先々代が地元で起こした事業受け継いでいた藤巻氏が、介護の世界に乗り出したのは、高齢化が進む地域の実態に危機感を感じたことが始まりだった。現在社会福祉法人れんげ福祉会が運営する「銀松苑」は、特別養護老人ホーム(特養)だけでなく、ケアハウス、デイサービスセンター、ヘルパーステーション、居宅介護支援事業所に地域交流スペースを備えた地域密着型の複合施設だ。その所在地である長野県大町市南部の常盤地区は、当時から高齢化率が30%を超えながら、高齢者向けの福祉施設がない地域であり、必要性は目に見えていた。
 
そこで、介護施設を立ち上げようと土地を持つ祖母に相談したところ、「土地は寄付するから地域への恩返しのつもりで、利益を追求するのでなく、すべて寄付でまかなうように」と言われたという。
 
藤巻氏は祖母の言葉を守り、利益を追求せず、地域貢献と継続を目的に社会福祉法人を設立。当初から、地域で最も必要とされている特養を開設したいと考えていた。しかし、県の担当者から「特養は、素人がいきなり運営できる施設ではないので、実績を積んでからということにしましょう」と言われたという。
 
その代わり、実績ができたら開設するという内々の約束の上、まず2002年にデイサービスとケアハウスをスタートした。翌年には居宅介護用のヘルパーステーションも立ち上げ、2007年、念願の特養の開設を果たした。
 
藤巻氏は、このような多角的な運営について次のように語っている。「特定のサービスだけでは、制度改定などによってその分野の需要が減った場合、対応できません。サービスを広げることによってそのような事態に対応できるようにしました。また、この地域の人々は奥ゆかしく、なかなか自分からサービスを利用しようとはしません。そこで、たとえばまずは居宅介護から始め、気に入ったらデイサービスを使ってもらう、身体機能が落ちたら、ケアハウスや特養を利用してもらうというように、多くの選択肢を用意することで、自分にあったサービスを利用してもらいたいと考えました」
 
もうひとつ土地柄として、一度信頼すると、とことん信頼してもらえるという風土がある。ただし、逆に言えば、一度信頼を損ねるとそのイメージを払拭するのは並大抵ではない。そこで、各施設での利用履歴などを他の施設でも利用できるよう、現在データの連係を図っている。「利用者の方が、何度も同じことを言わなくても済むようにして、サービスの向上を図ります」(藤巻氏)

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