まごころサービスの実践を目指して 高品質の安定したサービス提供のシステムづくりに邁進

まごころサービスの実践を目指して 高品質の安定したサービス提供のシステムづくりに邁進

宇野甲矢人氏|医療法人 鉃友会 理事長  墨江善浩氏|さくらの里グループ 事務長

愛知県岡崎市で宇野病院、老人保健施設「さくらの里」「さくら大樹」を運営する鉃友会。「まごころサービス」をモットーに利用者の満足と納得した介護サービスを提供する同施設は、質の高いサービス、均質で安定したサービスを実践するためにISO9001認証を取得している。認証取得に至った経緯、そのシステムづくりを通してサービスの本質がどう変わったか、宇野甲矢人理事長と墨江善浩事務長に伺った。

まごころサービスの実践を目指して 高品質の安定したサービス提供のシステムづくりに邁進
医療法人 鉃友会 さくらの里グループ
愛知県岡崎市に1998年に老人保健施設「さくらの里」を開設。現在は入所124名、通所100名で運営。また訪問看護、訪問介護、居宅介護支援も併設。2004年には同市内に「さくら大樹」を開設(入所98名、通所40名)。さくらの里と隣接する回復期リハビリ病棟を有する宇野病院(現在140床で23年度175床に増床予定)とともに、医療と介護の連携したサービスを提供している。

職員一丸となった「まごころサービス」の提供をモットーに

さくらの里のエントランスを入ると、まず介護老人保健施設と思えないインテリアと香りに包まれる。そこに立っただけで住環境を大切にし、利用者にとって優しく親しみのある空間を作り出そうとしていることがわかる。1階は施設名でもある桜を、2階は岡崎城を象徴する城郭を・・・6階までの各階のモチーフに沿った壁パネルで装飾されている。このインテリア改善計画を手がけたのは、アップルのiPodなどのデザインに携わったeight inc.のデザイナーの手によるものという。また、心地よい芳香は、職員が毎月変えるアロマオイルが放つもの。介護施設にありがちな独特の臭いがなく、清潔感が保たれ、環境の改善に職員みんなが取り組んでいることを伺わせる。
 
「このような施設は、基本的には衣食住の充実が要です。食事は美味しく、快適で清潔な住環境がまず大切。その上で介助などはもちろんのこと、サービスの質を高め、維持していくこと。それが利用者に選ばれるポイントだと考えています」。隣接に病院も経営する医療法人 鉃友会の理事長 宇野甲矢人氏は、快適な環境の上で「まごころサービス」を提供することがモットーだと語る。
 
この「まごころサービス」を具現化して提供するために、さまざまな試みがなされている。例えば、挨拶、電話応対、整理整頓、誘導型対応、環境の改善などを基本実施項目と定め、それらをベースに各部門で達成すべき目標をどのような形で実施していくかといった詳細な行動規範などが作られている。このような行動規範とともに、基本理念、職務規律、職員心得などをポケットサイズ(里人カード)にまとめ、常に携行して日々の業務の中で実施していく意識を持たせている。いわゆるリッツ・カールトンのクレドカードを参考に作成したものだ。ここで重要なのは、経営層から真のホスピタリティ、まごころサービスとしての哲学が示され、各部門のスタッフが自ら話し合って具体的な目標や実施すべき項目を決定していること。押しつけられた目標や行動規範でないことだ。

質の高いサービス提供・維持を目指してISO9001認証にチャレンジ

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高品質の商品の提供や顧客満足に向けたサービス提供は、どんな産業でもよくいわれること。ところが介護・福祉事業者のサービスの品質向上を明確にすることは難しく、その取り組みは他の産業に比べて遅れていた。そうした中でさくらの里は、製品やサービスの品質保証を通じて組織の顧客や市場のニーズに応えるために活用できる品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を全国でも最も早い時期にチェレンジした事業所である。特に、サービス業への適合を視野に入れた規格であるISO9001の2000年版の発効に合わせて準備を進め、医療及び社会事業の認定分類で全国初の認証を取得した。
 
「医療機関には病院機能評価がありますが、医療機関としての各種機能が整備されているかどうかを評価したものです。介護・福祉事業者のサービスの品質をどう評価するかは非常に難しい。そこで着目したのがISO9001でした。これは、職員みんなで考えながらサービス品質を管理していく手法ということで、介護サービスの質向上に自発的に取り組めると思いチャレンジしました。最初は介護や教育の水準をどう評価すべきか、あるいは職員個々もどうすべきか戸惑いが多かったものの、事務長を中心に努力してくれました」(宇野氏)という。
 
そのプロジェクトの推進役だった事務長の墨江善浩氏は、岡崎という地で高品質で均質の介護サービスを提供するシステム整備の重要さを次のように述べる。
 
「岡崎周辺は、ご存じのようにトヨタ関連の自動車産業が中心の地。景気が良くなると福祉関連の資格保持者さえも自動車関連会社へ転職するような、極端に人材移動が起きます。その中で人材を確保し、ご利用者に満足して頂けるサービスを安定して提供できるようにするためには、サービスの品質管理を仕組みとして構築することが重要でした」。
 

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