“健康と癒やし”をテーマに新感覚のデイサービスを提供

“健康と癒やし”をテーマに新感覚のデイサービスを提供

本村武彦氏|デイサービスセンター ブンゴヤ・ファインケア豊 事務長・生活相談員

ブンゴヤ・ファインケア豊は、天然温泉の展望浴場やカラオケルームなどを備えたユニークな施設環境でデイサービスを提供する。温泉プールを利用した水中運動や歩行訓練、7種類のマシンを使用したパワーリハビリの実施など、機能訓練を主として自立支援、介護予防に力を注いでいる。介護報酬改定に伴い減収を余儀なくされた同施設だが、職員全員が経営意識を持ち、利用者増によって収益回復を目指す。

“健康と癒やし”をテーマに新感覚のデイサービスを提供
デイサービス ブンゴヤ・ファインケア豊
大分県の大手薬局、ブンゴヤ薬局グループが介護事業展開の一環として2004年に開設。1階に一般の人も利用できるレストラン、2階にパワーリハビリ機器、デイサービス専用食堂、カラオケルーム、3階は介護予防と交流のためのフロア、4階に温泉プールと展望温泉浴場を備え、「リゾート感あふれるくつろぎの空間」を提供する。

“健康と癒やし”をテーマに、快適なサロン的空間を提供

ブンゴヤ・ファインケア豊のエントランスを入ると、4階までの吹き抜け天井を通して明るい日差しが降り注ぐ。ロビーに配された花や観葉植物、一角には一般の人も利用できるレストランを備えている。ブンゴヤ・ファインケア豊が冠言葉としている「リゾート感あふれるくつろぎの空間」。まさに、その言葉通りの佇まいだ。
 
漢方薬販売で歴史を持ち、大分県内15店舗で一般・医療用医薬品販売を行うブンゴヤ薬局グループが、2005年4月に開設したのがブンゴヤ・ファインケア豊である。同グループは20年ほど前から介護用品販売を手掛け、介護事業の一環としてデイサービスの提供を開始したものだ。冒頭に記したように、多くのデイサービスセンターとは一線を画した構えだが、こうした施設を開設したきっかけを事務長の本村武彦氏は次のように振り返る。
 
int015_bungoya_pool「多くの通所介護施設に見られるような暗いイメージを払拭したい、自分自身が利用したいと思うデイサービスを、というオーナーの強い意志がありました。自家温泉にも恵まれたため、温泉プール・展望温泉浴場、カラオケルームなども整備し、“健康と癒やし”をテーマに楽しめる空間、高齢者のサロン的な施設を目標にしました」
 
本村氏は、医薬品販売卸勤務を経て、薬種商の資格を持っていたので自身で薬店を開業し、介護用品販売を機に介護業界に携わった。その後も、某大手介護福祉会社でヘルパーステーションを立ち上げ、12年前にブンゴヤ薬局グループの介護用品販売担当に転身。オーナーが新しいタイプのデイサービス開設を計画した際に、自ら名乗りを上げてブンゴヤ・ファインケア豊が誕生した。計画段階で本村氏は、さまざまなデイサービスセンターを見て回りプールでの機能回復訓練に着目し、温泉プールを利用した歩行訓練・水中運動、パワーリハビリを主サービスとする機能訓練と介護予防に主眼を置いたデイサービスの展開へと至った。
 
利用者定員は80人で、現在約500人の利用者が週1回、もしくは2回のペースで利用している。ブンゴヤ・ファインケア豊の利用者は、要介護者(1もしくは2)も在籍するものの、多くは要支援者が占めている。「プール訓練やパワーリハビリを主にしているので、比較的生活機能の高い、元気な方が多いとは予想しましたが、地域包括支援センターのケアマネのプランの多くが水中ウォーキングによる身体レベルの維持で、要支援の利用者様が多くなっています」(本村氏)という。
 
比較的元気な利用者が多く、また元大学教授や会社経営者の配偶者など社会的地位の高い利用者が多いのも特徴。「それだけに、プライドの高い方もいらっしゃって、いろいろな不満の声も上がります。例えば、プール訓練は身体機能レベルによって1日5組に分けて実施していますが、誰それと同じ組にして欲しい、あるいは違う組みにして欲しいなどの要望があります。あくまでも運動機能とトレーニング内容によって組分けしていること、我が儘は認めないことを納得してもらうのに苦労するときがあります」(本村氏)と苦笑する。
 
その天然温泉を利用した周回40メートルのプールでは、専門の健康運動実践指導者が2人付いて1回のリハビリにつき10名前後の利用者を対象に水中ウォーキングや水中運動を行い、自立支援を促進している。家族の介護負担の軽減、あるいはレクレーションのために通う利用者はほとんどなく、あくまで日常生活動作の機能回復、自立を目的にしている利用者が多く、誰もが非常に意欲的に取り組んでいるのが印象的だ。

介護報酬改定に伴う減収をどう乗り越えるかが課題

int015_bungoya_kiji1利用者の多くから好評を得ているブンゴヤ・ファインケア豊のサービスだが、今回の介護報酬改定によって経営環境は厳しくなった。その最大の要因は、通所介護・リハビリのサービス提供時間の区分が変更されたことと、予防介護給付の基本報酬引き下げだ。もともと要支援と要介護度の低い利用者様が多く、週1回ないしは2回の利用であるため、採算的には厳しい中で運営してきました実態がある。そこに、サービス提供時間が5-7時間と7-9時間に区分が分かれ、前者の時間区分で減算されたことが減収となったという。
 
「帰宅後に旦那さんの夕飯の支度があるからと、夕方早めに帰宅を希望する利用者様がかなりいます。当施設では7-9時間のサービスニーズが少なく、対応しないことにしました。要介護の登録利用者は全体から見れば少ないものの、1日の利用者割合としては4割。その利用者様がすべて減算対象になったため、減収を大きくしました。さらに要支援に対する介護予防の単位削減も追い打ちになっています」(本村氏)。
 
サービスの複数実績加算などが新設されたとはいえ、「元気な方が多いので栄養改善を必要とする利用者様はいませんし、口腔機能向上サービスには歯科医師・歯科看護師の体制整備をしなければなりません」(本村氏)とし、これ以上に加算を取れないのが現状だという。
 
こうした経営課題を乗り切るための1つの方法として、本村氏は1日の利用者数を増やしていくことを考えている。現在は定員80人に対して1日70人前後の利用者があるが、「1日90人までとし、欠席を見込んで最低80人の利用者確保が必要になる」と本村氏。それに加え、7-9時間のサービス提供時間にも対応していかなければならないとも考えている。送迎車の専任運転手がおらず、職員が兼務で10台の送迎車を運行しているため、サービス時間が2段階になることにも頭を悩ませる問題だという。「いずれにしても、職員全員が経営的な意識を持ってもらうことが重要。全体会議等で意識付けをしていかなければと考えています」(本村氏)。
 

1 2