近年、利用者本位のケアマネジメントが求められていますが、それを実現するためには何が必要なのでしょうか?
近年、利用者本位のケアマネジメントが求められていますが、それを実現するためには何が必要なのでしょうか?
後ほど、5つの視点について説明をさせていただきますが、利用者本位を実現するためには、まず利用者の状態を正確に把握することが必要不可欠だと言うことができます。
睡眠は全ての人に重要な生命活動ですが、認知症をもつ人たちは、些細なことで睡眠パターンが崩れ、生活に影響が出ることが多いという特徴があります。そこで、まず利用者の睡眠の把握について触れてみたいと思います。
利用者の睡眠状態を把握するには、入所者、スタッフの負担無く、客観的に睡眠・覚醒のリズムを確認できることが求められます。
今回の取り組みでは、睡眠状態の把握から眠れていない原因を明確化し、それをもとに介護方法を検討することで、生活リズムの改善や転倒リスクの低減につなげることを目的としました。
そこで今回は、「眠りSCAN(パラマウントベッド㈱社製)」という製品を利用した活動内容をご紹介したいと思います。また、今回の取り組みは、私も開発に携わりました認知症をもつ人を対象としたセンター方式というケアマネジメントの考え方を柱にしています。
これまで、施設の中では巡視時の目視確認で眠っているかを確認してきましたが・・・
・スタッフ間による判断のバラつき
・スタッフの負担(記録・分析)
・確認時(戸をあけるなど)に利用者を起こしてしまう。などの課題がありました。
従来の睡眠状態を測定する機器は「睡眠ポリグラフ」「装着型センサー」など体に何かを取り付けるのが一般的で入所者の方に負担をかけてしまうため、使用が現実的でないケースが多々ありました。
今回の取り組みでは「眠りSCAN(パラマウントベッド(株)社製)」を利用しました。この製品は、マットレスの下に敷くシート型のセンサーで、体に何かを装着する必要が無く、入所者はもちろん、スタッフにも負担を与えずに睡眠パターンの把握ができることが特徴です。実際に、本取り組みにおいても、入所者の方が気にされることもありませんでした。
睡眠は全ての人にとって、活き活きとした生活をする上で欠かせないものであり、生活リズムを整える(把握する)ためにも重要なものです。
更に、認知症をもつ人にとっては、夜間の睡眠が不規則になりやすいため、睡眠を改善することができれば、転倒リスクなどの低減につなげることができます
これまでは、夜間帯に「ベッド上にいる=問題なし」という考え方がありましたが、「ベッド上にいる時間帯の情報」 を活用することで、更なる利用者本位のケアにつなげることができると考えています。
具体的には、「介護職員へヒアリング→睡眠パターンが不規則な入所者を選定→入所者2名の睡眠パターンを測定→課題抽出・カンファレンス→新しい取り組みの決定→新しい取り組みの実施→評価」という取り組みを行いました。