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Vol.4 P4Pを知っていますか? 欧米で進む“成果主義”

塚崎 朝子 氏 | ジャーナリスト

P4P(ピーフォーピー)とは、「Pay for Performance」の略称で、良質で効率の良いサービスを提供するため、プロセスやアウトカム(成績)に応じて報酬にも差をつけようという方式で、“成果主義”“成功報酬”といった表現がなされることもある。医療におけるP4Pは1990年代末のアメリカで提唱され、欧米各国で導入が進む。

先行するアメリカでは、ナーシングホーム(介護施設)についても全米でモデル事業が開始されている。実施母体は、メディケア(高齢者向け公的医療保険)とメディケイド(低所得者向け公的医療扶助)を運営するCM S(Centers for Medicare and Medicaid Services)で、特定の条件を満たす施設にはインセンティブを与える。2009年7月から5州の100施設において実施されている。

介護施設を4軸の指標で評価

 プロジェクトは3年がかりで、①職員配置=30ポイント、②適切な入院=30ポイント、③質アウトカム(MDSアウトカム)= 20ポイント、④施設基準サーベイ=20ポイントの4つの領域で、参加施設のパフォーマンスを毎年評価する。MDS(Minimum Data Set)とは、アメリカでナーシングホーム利用者に公開が義務づけられている指標である。
 各領域の達成度に基づいて施設に点数が付与され、その合計によって質が評価される。州ごとに、上位20%の施設と、前年比較で見た改善率が上位20%の施設に対して報奨金が与えられる。
 ケースミックスの調整には、R U G(Resource Utilization Group)第三版が用いられている。長期療養を受けている慢性疾患患者を、リハビリテーション・医療・介護の必要度、ADLなど、ケアの度合いに応じて分類する方式で、支払い方式にも採用されている。
 詳しく見ると、まず、「職員配置」では、正看護師(RN)の割合、総看護時間に加え、離職率が挙げられる。次に、「適切な入院」では、電解質インバランス、呼吸不全、敗血症、尿路感染などによって入居者が急性期病院に入院した割合を見る。適切な管理により、これらの疾患は予防が可能だとされている。
 そして、「MDSによるアウトカム」には、長期・短期それぞれの入所者について、ADL改善率、褥瘡発生率、膀胱留置カテーテル使用者の割合などが含まれる。
 

日本の介護報酬にも既に導入

 P4Pは、決して海の向こうの出来事ではない。09年の介護報酬改定では、既に一部にP4Pが導入されており、在宅復帰支援機能加算、事業所評価加算、特定事業所加算、サービス提供体制強化加算などがこれに該当する。
 日本の介護サービスの質にはばらつきがあることが指摘されており、背景にはアメリカのMDSのような指標も設定されておらずアセスメントがなされていないことがあるとされる。12年の診療報酬・介護報酬のダブル改定に向けては、さらにP4Pの議論が高まることだろう。

Vol.4  P4Pを知っていますか? 欧米で進む“成果主義”
つかさき・あさこ プロフィール
読売新聞記者を経て、医療・医学、科学・技術分野のジャーナリスト。経営学修士(MBA)、医療管理学修士。週刊エコノミストで「大人の悠遊 からだチェック!」、メディカル朝日で「命を紡ぎ出す〜再生医療の現場から」連載中。著書に『看護のための経営指標みかた・よみかた超入門』(共著、メディカ出版)ほか。東京医科歯科大学大学院医療政策学博士課程在籍。