きになる”福祉の時事ニュース

Vol.26  2025年に向けた人材確保   ~介護の視点編~

塚崎 朝子 氏 | ジャーナリスト

団塊の世代が後期高齢者になり、超高齢社会のピークを迎える2025年は、医療・介護にとって試練の時である。離職率が高く、慢性的な人手不足にある介護現場の人材確保に関する動きを見る。

2025年に向けた人材確保 資格高度化は処遇とセットで

 
09年秋から「介護職員処遇改善交付金」が導入され、昇給や一時金支給などで、介護職員の賃金を引き上げた事業者に対し、国が1人当たり月額平均1万5000円(常勤職員換算)を支給しているが、12年3月までの時限措置で、4月以降の実施は未定とされていた。
 
11月24日にまとめられた社会保障審議会の介護保険部会の意見書では、交付金によらず、介護報酬で対応して、基本給の引き上げなど継続的な改善につなげる必要性を示唆している。
 
実際に交付金を申請した事業所では、給与に充当され、職員の平均月給は前年より1万5160円上昇している。やりがいや生産性向上につながると、労使とも評価は高く、交付金が廃止されても手当を継続したいとする事業所もあるが、多くの事業所には、廃止は深刻な問題だ。
 
実際にこの交付金分を国費で充当しようとすれば、毎年1900億円の予算が必要になる。厚生労省の試算では、これを介護報酬に組み入れた場合には、介護報酬改定率にして約2%のプラス改定とする必要になる。介護給付費部会では、12年度の介護報酬改定が議論されているが、東日本大震災の復興財源を優先させなくてはいけないために、なかなか厳しい側面を迎えている。
 

処遇改善加算で代替する案が議論

 
分科会では、処遇改善加算が提案されている。処遇改善交付金の申請には賃金改善計画の提出なども義務付けられており、実際の申請率は82~83%で、すべての事業者が申請しているわけではない。このため、一律に遇するのではなく、介護報酬単位に、加算率と単価(地域差)を乗じて、加算額としてほぼ交付金と同等、現行の1万5000円は下らない条件とするようにすることが検討されている。また、原案には、キャリアパス要件等については継続し、満たさない場合には一定割合を減算すること、新たに採用した職員の処遇に関しては過去の介護職としての経験年数や実務能力を加味することが給与規程等に明記されていること、なども盛り込まれている。
 
国家資格である介護福祉士を基礎資格とし一本化しようという試みも始動しており、ホームヘルパー2、3級(訪問介護員養成研修2級、3級課程は12年度末で廃止、13年度からは、新たに130時間の講義・演習などからなる「介護職員初任者研修課程」移行することになる。また、1級の上に、500時間の講義・演習・実習からなる「介護職員基礎研修課程」(基礎研修)が設けられた。介護福祉士の割合が高ければ、介護報酬の加算がなされるとしても、高いハードルを乗り越えた有資格者をきちんと処遇できなくては、人材確保はままならない。

Vol.26   2025年に向けた人材確保   ~介護の視点編~
つかさき・あさこ プロフィール
読売新聞記者を経て、医療・医学、科学・技術分野のジャーナリスト。経営学修士(MBA)、医療管理学修士。週刊エコノミストで「大人の悠遊 からだチェック!」、メディカル朝日で「命を紡ぎ出す〜再生医療の現場から」連載中。著書に『看護のための経営指標みかた・よみかた超入門』(共著、メディカ出版)ほか。東京医科歯科大学大学院医療政策学博士課程在籍。

補足資料ナナメ読み

【2025年問題】

2025年には、終戦直後の第一次ベビーブーム期(1947~49年)に出生した団塊の世代が、75歳以上(後期高齢者)となり、65歳以上の高齢者も全人口の30%を超え、超高齢社会のピークを迎える。厚生労働省の試算では、医療は52兆円(10年の約1.4倍)、社会保障の給付費は全体で151兆円に達するとされている。国民の約3.5人に1人が高齢者となり、現役世代1.8人で高齢者1人の年金を支えなくてはならなくなる。社会保障費の急増に加え、少子高齢化による医療・介護の人材不足も深刻になり、07年には、労働力人口の5.8%だったものが、25年には8.7~11.8%を確保しなければならない(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算)。要介護者は約755万人で、介護費用は19~24兆円、認知症高齢者は約323万人になると推計され、健康寿命の延伸や地域包括ケアの制度設計は喫緊の課題になっている。